シングリッシュを通じて中国語を学ぼう(1)

シンガポールに住んでいる方、またはシンガポールへ旅行経験のある方は、シンガポーリアンの変わった英語ーシングリッシュをご存じでしょう。それに対して唖然としている方もいれば、アジア系の英語だと見なして面白くて分かりやすいと思う方もいるでしょう。

見方がどうであれ、中国語が分かれば、シングリッシュを聞いたら、なるほど、道理でそうなんだと納得するでしょう。また、シングリッシュが分かれば、中国語が少し学びやすくなるはずです。シングリッシュは中国語から来ている言葉だという訳ではないですが、中国語の影響を沢山受けているのです。それではシングリッシュの特徴を見て、裏に隠れている中国語のパターンを見出しましょう。

シングリッシュでは、ある一つの単語ー「one」がよく使われます。文の最後に図々しくくっ付いていて、一体何をしているのでしょう。

1. Nice? I made one.

2. Wah so clean. You clean one ah?

3. Who say one?

4. He won’t mind one.

5. She won’t like one.

6. He very kiasu one.

7. Why you like that one?

8. Like that very ugly one.

上記の例文を二色で書いたのは、それぞれの「one」は意味が違うからです。シングリッシュの「one」を理解するのに、まず英語の「one」の一つの使い方を見ておきましょう。

a. Give me the red one.

b. This shirt is too small. Get a bigger one.

c. Can I have the sweeter one?

これらの「one」は既に言及したものを指します。

a. Give me the red one. (Give me the red pen/ shirt/ apple.)

b. This shirt is too small. Get a bigger one. (Get a bigger shirt.)

c. Can I have the sweeter one? (Can I have the sweeter apple/ orange?)

中国語では、この「one」を「的」‘de’で表します。では上記の英文は中国語でどうなるのでしょう。

a. Give me the red one. (Give me the red pen/ shirt/ apple.)
Gěi wǒ hóngsè de. (Gěi wǒ hóngsè de bǐ/ chènshān/ píngguǒ.)
给我红色的。(给我红色的笔/ 衬衫/ 苹果。)
赤いのをください。(赤いペン/シャツ/りんごをください。)

b. This shirt is too small. Get a bigger one. (Get a bigger shirt.)
Zhè jiàn chènshān tài xiǎo, ná dà yìdiǎn de. (Ná dà yìdiǎn de chènshān.)
这件衬衫太小,拿大一点的。(拿大一点的衬衫。)
このシャツは小さすぎます。大きいのを取ってください。(大きいシャツを取ってください。)

c. Can I have the sweeter one? (Can I have the sweeter apple/ orange?)
Gěi wǒ tián de, xíng ma? (Gěi wǒ tián de píngguǒ/ júzi)
给我甜的,行吗?(给我甜的苹果/ 橘子。)
赤いのをもらってもいいですか。(赤いりんご/みかんをもらってもいいですか。)

シングリッシュでは「的」は英語の「one」と関係付けられているのが分かったら、次に真上のシングリッシュの文の意味はなんなのか、そしてそれぞれは英文に直すとどうなるのか見てみましょう。

1. Nice? I made one.
Hǎokàn ma? Wǒ zuò de.
好看吗?我做的。
English: Nice? I made it.
きれい?私が作ったのよ。

2. Wah so clean. You clean one ah?
Wa, zhème gānjìng! Nǐ xǐ de a?
哇,这么干净!你洗的啊?
English: Wow, it’s so clean. Did you clean it?
わ、めっちゃきれいだ。あなたが洗ったの?(最後の「a」は軽く答えを求めている語気助詞です。) 

3. Who say one?
Shéi shuō de?
谁说的?
English: Who said so?
誰が言ったの?

4. He won’t mind one.
Tā bú huì jièyì de.
他不会介意的。
English: He won’t mind.
彼は気にしないのよ。

5. She won’t like one.
Tā bú huì xǐhuan de.
她不会喜欢的。
English: She won’t like it.
彼女は嫌がるだろう。

6. He very kiasu one.
Tā hěn pà shū de.
他很怕输的。
English: He’s very ‘kiasu’.
彼はとても「kiasu」なんだよ。(「kiasu」とは福建語から来ているシングリッシュの表現で、 おおざっぱに訳してみれば負けるのを嫌がるということです。もっと知りたい方はこちらをご覧ください。)

7. Why you like that one?
Nǐ zěnme zhèyàng de?
你怎么这样的?
English: Why do you act/ react/ behave in such an annoying/ weird way?
あなたってなんでこうなの。

8. Like that very ugly one.
Zhèyàng hěn nánkàn de.
这样很难看的。
English: If it is done this way it’s going to look real ugly.
こうやるとめちゃくちゃ醜くくなるよ。(前半の意味は可能性が沢山あります。)

これらの「one」は派生された用法で、中国語の「的」の二つの別の意味として使われているのです。(そう、「的」にはうんざりするほど意味が多いです!)ここの「的」は、既知のものを指していません。一つ目のセットの例では、既に起きたことがあって、誰がそのことをしたのかを確認しているのです。そのことは起きたかどうかについて話しているのではなく、誰がしたのかがメインポイントです。二つ目のセットでは、「的」は肯定や確定の語気を表します。「そのはずだ」、「そうなんだ」、「そのような特徴があるのだ」といった強調の語気です。日本語に訳すと、たいてい「〜のだ」、「〜なんだ」、「〜だよ」になります。ここまで読んだら、中国語の「的」は日本語の「の」にあたることが多いということに気づいたのでしょうか。分かりやすい一方で、いつもそうだという訳でもないので気をつけましょう。

シングリッシュは外国の方の注目を集め始めた頃、英文の最後に「la」をつけてシングリッシュを話してみる人がいたようです。残念ながらそう簡単にシングリッシュにはならないです。シングリッシュは文法違反の英語でありながらも、それなりのルールがある言葉です。「的」の場合も同様で、文の最後に「的」をつければ必ず確定、肯定、強調を表すようなシングリッシュの文になるというわけではありません。ニュアンスというものは難しいです!嬉しいことに、誰があることをしたかという用法の文法はそれほど難しくはないです。

シングリッシュの専門家ではないですが、シンガポーリアンの英文の最後に英語の文法で理解できそうもないような「one」を聞けば、中国語に訳してみてください。その「one」のところに「的」がぴったり入る可能性が高いです。これからは是非シングリッシュの「的」を聞き逃さないようにしてください。より自然な中国語ができる鍵の一つになるかもしれませんよ。

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