了の正しい使い方
中国語の“了”=過去形です
と聞いたことありませんか。“了”は、日本語の「〜しました」に当たる、と言い張るなら、たとえ中国人であっても、十中八九中国語について知らない人でしょう。
なぜなら、“了”≠過去形ではないのです!
なんて書きやすくて簡単そうに見える漢字です。しかし、簡単だと思ったのに、いつのまにかまるでこんがらがった糸のようになり、いつ使うべきなのか、どんな場合使っちゃいけないのか、分からなくなってきて、考えれば考えるほど怖い謎の単語になった。この謎を一緒に解きましょう!
かなりヘビーなレッスンになりますが、できるだけ分かりやすく説明してみます。また、復習していただけるように、まとめも練習も用意したのでそちらのほうも是非御覧ください。
注意
さて注意していただきたいことがあります。“了”をちゃんと理解できるように、「時制」の思考パターンを捨てましょう。日本語も英語もしっかりした時制があって、新しい言葉を学ぶとき、ついつい「時制」に陥ってしまうのも当然のことですが、時制がない中国語を学ぶ際、時制で考えるとものすごい妨げになります。新しい角度から中國語の面白さを発見しましょう。
まず、“了”が過去形ではないということからお示します。次の例を見てください。
1a)
Wǔ diǎn le.
五点了。
五点了
五時だ。
2a)
Wǒmen shì péngyou le.
我们是朋友了。
我们是朋友了
私達は友達になった。
過去のことではないのに、両方にも“了”があります。少しずつ説明していきますので、最後まで見てくださいね!
“了”とは何でしょう。基本的に二種類あります。一つ目は動態助詞(动态助词 dòngtài zhùcí)で、“了1”とも呼ばれ、二つ目は語気助詞(语气助词 yǔqì zhùcí)で、“了2”とも呼ばれます。全く同じように見えますが、中身は違います。
中国語の動態助詞の“了1”は何なのか、どんな働きをするのでしょうか。動詞の後に付く助詞で、動作の実現や完了を表します。実現や完了というと、過去形と同じものだと勘違いしてしまいがちですが、過去形ではありません。日本語や英語の場合、ある動作が過去に発生したのかどうかなど、時制で表しますが、中国語の動態助詞の場合、動作がある時点においてどの段階にあるかということを表します。
例を見ていけば分かってくると思うので、いまのところあまり理解できなくても心配しないでください。ちなみに、中国語の動態助詞に“了1”の他にも、”过“ guo と”着“ zhe があります。
“了1”の特徴が結構たくさんありますが、次の十個に絞りました。これだけでも頭ごちゃごちゃになるかもしれません。この後に“了2”の紹介もありますので、辛抱強く頑張っていきましょう!
ではさっそく、“了1”の特徴を見ましょう。「完了」を表す基本の意味を常に念頭に置いてください。
- 時制ではなく動態助詞だ
- 動詞の後、目的語の前
- 寂しがり屋
- 一回で十分
次の場合“了1”はあまり使われない。
- 否定文
- 習慣的な動作
- 完了が要点ではない場合
- 心理活動動詞
- 非動作性動詞
- 能願動詞
1. 時制ではなく動態助詞だ
一番肝心なポイントです。“了1”は過去形ではなく、「完了」を表す動態助詞です。次の例を見ましょう。
3a)
Wǒ chīle.
我吃了。
我吃了
私は食べた。
この例を見て思うでしょう。明らかに過去形じゃのか!待ってくださいよ。説明はこれからです。「完了」というと必ず終わったこととは限らないのです。その文によって異なります。
3b)
Wǒ chīle jiù qù shàngbān.
我吃了就去上班。
我吃了就去上班
私は食べてから出勤する。
さきほど言ったように、「完了」と言ってもその動作が終わったとは限りません。文字道理、「完了」ということだけを表し、過去に完了したのかもしれないし、未来に完了するかもしれません。ということで、3b) の“了”は”吃“という動作の「完了」を表すのにも関わらず、すでに実現された「完了」ではないのです。食べるという動作が完了したら出勤するということ示しているのです。つまり、この文では、食べることも、出勤することも両方実現されていません。
2. 動詞の後、目的語の前
ほとんどの場合、“了1”は動詞の後、目的語の前に置きます。
動詞 + 了1 + 目的語
3b) の例を少し変えましょう。
3c)
Wǒ chīle fàn jiù qù shàngbān.
我吃了饭就去上班。
我吃了饭就去上班
私はご飯を食べてから出勤する。
この文には、”吃“という動詞だけではなく、”饭“という目的語もあります。動態助詞“了1”が動詞の後、目的語の前に入ります。
Wǒ chī fàn le jiù qù shàngbān.
我吃饭了就去上班。
とは言いません。
まあ、口語ではたまに聞きますが、文法的にあまり合っていない構造です。
ちなみに、結果補語(结果补语 jiéguǒ bǔyǔ)がある場合、“了1”はその結果補語の後に置きます。例えば、
3d)
Wǒ chīwán le fàn jiù qù shàngbān.
我吃完了饭就去上班。
我吃完了饭就去上班
私はご飯を食べ終わってから出勤する。
3. 寂しがり屋
これはより詳しい説明が必要です。また3) の例を変えてみましょう。
3e???)
Wǒ chīle fàn.
我吃了饭。
我吃了饭
私はご飯を食べた。
“了1”を動詞の後、目的語の前に置き、大丈夫なようですが、問題は、そのまま終わることです。不完全な文に聞こえるのです。何か言い落したみたいで、ちょっと違和感あるのです。“了1”は集まりが好きで、目的語しかなければ寂しがるのです。
不完全に聞こえないように、方法は三つあります。一つ目は、目的語の前に定語(連体修飾語)を入れることです。簡単に言うと、目的語の前にその目的語を限定する、或いは修飾するものを入れるのです。この定語は一般、助数詞、形容詞、代名詞などになります。
不完全に聞こえないための方法①: 動詞 + 了1 + 定語(連体修飾語) + 目的語
3f)
Wǒ chīle liǎng wǎn fàn.
我吃了两碗饭。
我吃了两碗饭
私はご飯を二杯食べた。
(定語が助数詞)
今助数詞の定語見ましたが、その他の定語が入った例文も見ましょう。
4a)
Wǒ zuòle hěn duō mántou.
我做了很多馒头。
我做了很多馒头
私は蒸しパンをたくさん作った。
(定語が形容詞)
5)
Mèimei chīle wǒ de píngguǒ.
妹妹吃了我的苹果。
妹妹吃了我的苹果
妹が私のりんごを食べた。
(定語が代名詞)
6)
Tā mǎile hěn dà de fángzi.
他买了很大的房子。
他买了很大的房子
彼は大きな家を買った。
(定語が形容詞)
不完全に聞こえないための二番目の方法は、動詞の前に状語(連用修飾語)を入れることです。
不完全に聞こえないための方法②: 状語(連用修飾語) + 動詞 + 了1 + 目的語
3g)
Wǒ yǐjing chīle fàn.
我已经吃了饭。
我已经吃了饭
私はすでにご飯を食べた。
4b)
Wǒ zuótiān zuòle mántou.
我昨天做了馒头。
我昨天做了馒头
私は昨日蒸しパンを作った。
ここまできちんと聞いてきたのであれば気づいたのかもしれませんが、三つ目の方法は前にすでに見てきたのです。前の例と同じように、後半の文を作ることです。
不完全に聞こえないための方法③: 動詞 + 了1 + 目的語 + 後節
3c)
Wǒ chīle fàn jiù qù shàngbān.
我吃了饭就去上班。
我吃了饭就去上班
私はご飯を食べてから出勤する。
もし定語も状語も後節もなく、3e) のような空っぽな文のままだと、私的には完全に間違えたとまでは言いませんが、こんな文を言われると、やっぱり、一体ポイントは何なのか、まだ話が終わっていないのではないか、と気になってしまいます。骨組みしかできていないようです。定語や状語、後節が入ると、肉も付いたという感じになり、文が完全に出来上がったなと、すっきりとなります。
“了1”が寂しがり屋なので、目的語があれば、定語、状語、または後節を付けてあげてくださいね。
4. 一回で十分
基本的に、動詞が続く連動文(连动句 liándòngjù)と兼語文(兼语句 jiānyǔjù)では、最後の動詞にだけ“了1”を付ければ結構です。連動文と兼語文についてここでは詳しく説明できませんが、重要な構文です。まだ習っていないのであれば、一つの文に動詞が二つ以上あると理解すれば結構です。例を通して「一回で十分」というポイントについてだいたいの感じをつかめば良いでしょう。
7)
Wǒ zuótiān zuò dìtiě qùle tā jiā.
我昨天坐地铁去了他家。
我昨天坐地铁去了他家
私は昨日地下鉄に乗って彼の家に行きました。
8)
Wǒ ràng tā dǎsǎo le háizi de fángjiān.
我让他打扫了孩子的房间。
我让他打扫了孩子的房间
私は彼に子供の部屋を片付けてもらった。
以上は“了1”が使われるケースで、続いて“了1”があまり使われない場合をご紹介します。
5. 否定文
否定文では、動詞の前に“没” méi を入れて、“了1”を落とします。つまり、“了1”の否定形は次のとおりです。
没(有) méi (yǒu) + 動詞
3h)
Wǒ méi chī.
我没吃。
我没吃
私は食べなかった。
4c)
Wǒ méi zuò mántou.
我没做馒头。
我没做馒头
私は蒸しパンを作らなかった。
注意:“了1”の場合、“不” bù で否定することができません。
6. 習慣的な動作
これは間違えやすいところです。習慣的に行う動作なら、例え完了したとしても、“了1”は必要ではありません。
9)
Xiǎo shíhou, wǒ měitiān chī dòushābāo.
小时候,我每天吃豆沙包。
小时候我每天吃豆沙包
私は小さい頃、毎日餡饅を食べていた。
めったにしない動作でも、“了1”を使いません。
10)
Xiǎo shíhou, wǒ zhǐshì ǒu’ěr chī dòushābāo.
小时候,我只是偶尔吃豆沙包。
我只是偶尔吃豆沙包
私は小さい頃、たまにだけ餡饅を食べる。
しかし、「完了」というポイントが肝心な場合、“了1”を使わなければなりません。
11)
Xiǎo shíhou, wǒ měitiān dōu shì chīle dòushābāo zài hē kěkě.
小时候,我每天都是吃了豆沙包再喝可可。
我每天都是吃了豆沙包再喝可可
私は小さい頃、毎日餡饅を食べてからココアを飲んでいた。
7. 完了が要点ではない場合
完了した動作であっても、完了か未完了かが重要ではない場合、普通“了1”を使いません。何かを報道をしたり、連続した事柄を叙述したりする場合にこのような文が多いです。
12)
Tā dǎkāi mén, zǒujin chúfáng, zuòxialai jìngjìngde chī fàn.
她打开门,走进厨房,坐下来静静地吃饭。
她打开门
彼女はドアを開け、台所に入り、座ってゆっくりご飯を食べた。
一方、完了に注目をするため、“了1”を連続して使うときもあります。
13)
A:
Nǐ jīntiān dōu zuòle xiē shénme?
你今天都做了些什么?
你今天都做了些什么
今日何をした?
B:
Xǐle yīfu, sǎole dì, mǎile cài, zuòle fàn, mángdehěn ne!
洗了衣服,扫了地,买了菜,做了饭,忙得很呢!
洗了衣服
洗濯して、掃除して、食料を買って、ご飯を作って、超忙しかった。
8. 心理活動動詞
心理活動動詞は心理状態を表し、完了を表さないため、“了1”と一緒に使いません。
14)
Shàng dàxué de shíhou, wǒmen dōu xǐhuan nàge gēshǒu.
上大学的时候,我们都喜欢那个歌手。
上大学的时候
大学生のころ、我々はあの歌手が好きだった。
15)
Wǒ dǎsuan jìxù xuéxí Hànyǔ.
我打算继续学习汉语。
我打算继续学习汉语
私は中国語を学び続けるつもりだ。
9. 非動作性動詞
“是” shì、“在” zài、“姓” xìng など、非動作性動詞の場合、“了1”は使いません。(ただし、すべての非動作性動詞がそうだというわけではないのでご注意ください。)
16)
Nà shíhou tā shì lǎoshī.
那时候她是老师。
那时候她是老师
彼女はそのとき、先生だった。
17)
Zuótiān wǒ zài jiā.
昨天我在家。
昨天我在家
昨日私は家にいた。
10. 能願動詞
“想” xiǎng、“要” yào、“能” néng、“会” huì、“可以” kěyǐ、など、能力、願望、可能性などを表す助動詞がある場合、完了とは関係がないため、“了1”は使いません。
18)
Wǒ gāngcái xiǎng chī liǎng wǎn fàn, kěshì tā zhǐ gěi wǒ yī wǎn.
我刚才想吃两碗饭,可是他只给我一碗。
我刚才想吃两碗饭
私はさっきご飯を二杯食べたかったが、彼は私に一杯しかくれなかった。
19)
Nǐ xiǎo shíhou huì shuō Yīngyǔ ma?
你小时候会说英语吗?
你小时候会说英语吗
あなたは小さい頃英語が話せたか。
ここまでよく持ちこたえてきました〜!残り半分も根気強く頑張り続けましょう!では“了2”に入りましょう。
ここまで見たように、“了1”には複雑そうな特徴が多いようですが、根本的な要素は実は「完了」だけです。“了2”も、一見意味が色々あるようですが、最も大事な点は「変化」で、これだけちゃんと理解すれば十分だと言ってもいいでしょう。すでに「“了”が過去形だ」という間違った認識を持っていれば、ここからの説明は不思議に思われるかもしれませんが、「過去形」という概念を捨て、「変化」という要点を念頭に置くように心がけましょう。
“了2”について学ぶ点は次の通りです。
- 文末に置く
- 変化を表す
- 発生の確認を表す
- 数量の変化を表す
- 催促や制止を表す
- 決まった構造
1. 文末に置く
“了1”なのか“了2”なのか、基本的に位置で判断することができます。“了1”はほとんどの場合動詞の直後に置かれるのに対して、“了2”はほとんどの場合、文末に置かれます。
2. 変化を表す
これは“了2”の根本的な特徴です。ここでまず、「変化」とは何なのか考えてみましょう。広い意味で見なければなりません。あるものが別のものに完全に変身したのも変化だし、少しだけ変わった場合も変化です。一瞬変わったのも変化だし、ゆっくり変わっていくのも変化です。ある新しい状況ができるのも変化だし、以前の状況がなくなるのも変化です。とにかく、なにかが違ったら変化です。
一番最初見た例を覚えていますか。
1a)
Wǔ diǎn le.
五点了。
五点了
五時だ。
2a)
Wǒmen shì péngyou le.
我们是朋友了。
我们是朋友了
私達は友達になった。
お気づきになったでしょうか。2) の“了”は、「になった」と訳しました。“了”は「成る」という動詞ではないですが、変化を表すため、日本語に訳すと、「になる」がぴったりな場合が多いです。「になる」の他に、「もう〜だ」という訳し方も良いです。つまり、1) を「五時になった」、または「もう五時だ」と訳しても良いです。
“了”がある場合とない場合をちょっと比較してみましょう。
1a)
Wǔ diǎn le.
五点了。
五点了
五時だ。
VS
1b)
Xiànzài wǔ diǎn.
现在五点。
现在五点
今五時だ。
基本的に同じ意味ですが、状況によってどっちか一つがより相応しいという場合もあります。例えば、仕事中でふっと時計を見ると、あ、もう五時だと気づいた場合、“五点了” Wǔ diǎn le と言うでしょう。別のシナリオで、友達何人かとショッピングに行き、それぞれ好きなものを見ることにして、待ち合わせの時間を決めるのです。そこで、時計を見て、五時だと認識します。そんなときたぶん、ただ事実を報告する感じで“现在五点” Xiànzài wǔ diǎn(今五時だ)と言って、そして続いて“我们六点集合吧” Wǒmen liù diǎn jíhé ba(六時に待ち合わせましょう)とでも言うのでしょう。ちなみに両方混ぜて
1c)
Xiànzài wǔ diǎn le.
现在五点了。
现在五点了
今五時になった。
という文も正しい言い方です。これにはこれと言った厳しいルールは別にないのです。その時その状況に応じてより相応しいものを選ぶだけです。
例 2) をもう少し深く見ましょう。
2a)
Wǒmen shì péngyou le.
我们是朋友了。
我们是朋友了
私達は友だちになった。
“了”が過去形だと思って、「私達は友達だった」というつもりでこんな文を作る方が多いです。しかしこれは今のことの話です。次の例と比較しましょう。
2b)
Wǒmen yǐqián shì péngyou. Xiànzài bù shì le.
我们以前是朋友。现在不是了。
我们以前是朋友现在不是了
私達は前は友達だった。今はもう友達ではない。
この例の前半は過去のことですが“了”がなく、後半は現在のことなのに“了”があります。これで、なぜ“了”が過去形だと思ってはいけないのか分かっていただけたのでしょうか。
変化を表す“了2”はたいてい、名詞、形容詞、動詞、能願動詞、フレーズの後に置かれます。動詞の”有“ yǒu と”是“ shì が特によくこの“了2”と使われます。1) と 2) の例で名詞と動詞の”是“の場合を見ましたが、次にほかのケースを見ましょう。
20)
Wǒ pàng le.
我胖了。
我胖了
私は太った。
太っていない状態か太った状態になったという意味です。
21)
A:
Míngtiān de huìyì nǐ yě děi cānjiā.
明天的会议你也得参加。
明天的会议你也得参加
明日の会議にあなたも参加しなければならない。
B:
Hǎo, zhīdào le.
好,知道了。
好知道了
分かった。
前は知りませんでしたが、今は知りました。
22)
Míngtiān xīngqī yī le.
明天星期一了。
明天星期一了
明日月曜日だ。(月曜日になる。)
“了2”を消して”明天星期一“ Míngtiān xīngqī yī と言ってもいいでしょうか。それでも結構です。ただ、“了2”があることによって、月曜日になるのだと、時間の推移という意味合いが含みます。“了2”がなければ、単なる明日月曜日であるという事実を述べているのです。
23)
Wǒ yǒu nǚ péngyou le.
我有女朋友了。
我有女朋友了
私に彼女ができた。
前は彼女がいませんでしたが、今はいるようになりました。
24)
Wǒ bù xiǎng qù le.
我不想去了。
我不想去了
私はもう行きたくない。
以前は行きたかったですが、今はもう行きたくなくなったということです。前に説明しましたが、“了1”の文を否定する場合、”没“ méi しか使えず、”不“ bù は使えません。“了2”の場合、”不“も”没“も両方よく使います。また、今の例から分かるように、“了1”と違って、“了2”の場合、能願動詞が使えます。
25)
Shǒujī méi diàn le.
手机没电了。
手机没电了
携帯の電池が切れた。
さっき残量がまだありましたが、今は切れました。
26)
Tā nǎinai shēntǐ bù hǎo le.
他奶奶身体不好了。
他奶奶身体不好了
彼のおばあさんは元気ではなくなった。
おばあさんは以前元気でしたが、今元気ではなくなりました。
一気に名詞、形容詞、動詞、能願動詞、フレーズの例を挙げましたが、それぞれの感覚を掴むまで時間がかかるので、本当にうまくなりたいなら、別々にたくさん練習したほうがいいでしょう。
3. 発生の確認を表す
この点も実は、厳密に言えば変化を表すカテゴリーで、B に入れるべきですが、一番混乱しやすい使い方なので、別々にしました。
さきほど“了1”を見た時、次のこの文がちょっと変だと言ったのを覚えていますか。
3e???)
Wǒ chīle fàn.
我吃了饭。
我吃了饭
私はご飯を食べた。
不完全に聞こえるのだと説明しました。そう聞こえないように、目的語の前に定語を入れるか、動詞の前に状語を入れるか、後半の文を作るか、三つの方法を紹介しました(“了1”の 3. 寂しがり屋)。ここに四つ目の方法を紹介します。最後に“了2”を付けるだけで十分です。
不完全に聞こえないための方法④: 動詞 + 了1 + 目的語 + “了2”
3i)
Wǒ chīle fàn le.
我吃了饭了。
我吃了饭了
私はご飯を食べた。
つまり、この文には、“了1”も“了2”もあるということです。“了1”は「完了」を表す働きをしますが、意外にも真の完了を表すのは、“了2”です。“了1”が示す「完了」は、過去のことかもしれないし、未来のことかもしれないというのを覚えていますか。“了2”がその完了が確実に実現されたということを確認するのです。
実は、この例のような短い文の場合、“了1”を省いて、“了2”だけを使ってもいいです。つまり、次のように言ってもかまいません。
3j)
Wǒ chī fàn le.
我吃饭了。
我吃饭了
私はご飯を食た。
では、この完了を確認する点はいったい「変化」の説とはどう関係するでしょうか。“了2”はその前の文を全体としてまとめて、これは新しい状態だということを示すのです。「私は食べた」というのがまさにその新しい状態です。日本語に訳すと過去形になりますが、何度も言っているように、中国語では過去形がなく、如何に過去形っぽく見えても、過去形ではないのです。ある動作が完了したことを認めて、その完了した状態が新しい状態だ、未完了から完了への変化を示しているだけです。
初めての方にはこれはちょっと訳が分からないでしょうが、慣れるまで少し時間がかかりますが、たくさん例を見て練習すれば感覚が身につくので諦めずに頑張ってください。
もう一度「食べる」の例を見ましょう。
3b)
Wǒ chīle jiù qù shàngbān.
我吃了就去上班。
我吃了就去上班
私は食べてから出勤する。
もし後ろに“了2”を付ければ、
3k)
Wǒ chīle jiù qù shàngbān le.
我吃了就去上班了。
我吃了就去上班了
私は食べてから出勤した。
食事もしたし、出勤もした、すべての動作が発生したという新しい状態ができたという意味になります。
4. 数量の変化を表す
この点もまた、変化についてなので、B に入るはずですが、大きなポイントなので別々にしました。
シンプルな文から始めます。
27)
Háizi bā suì le.
孩子八岁了。
孩子八岁了
子供は八歳になった。
年齢の数に変化が起こり、八歳になりました。これは前に見た例1a) と同じパターンです。
1a)
Wǔ diǎn le.
五点了。
五点了
五時だ。
時間の数に変化が起こり、今五時になりました。
続いてやや複雑な例を見ます。数量補語(数量补语 shùliàng bǔyǔ)と時量補語(时量补语 shíliàng bǔyǔ)と一緒に使う場合です。この二つの補語を習ったことがあれば、恐らく次のように習ったでしょう。“了”が一つしかなければ、終わったことの意味で、“了”が二つあれば、まだ続いていることの意味だ。
28a)
Wǒ xuéle liǎng nián Hànyǔ.
我学了两年汉语。
我学了两年汉语
私は中国語を二年間学んだ。
28b)
Wǒ xuéle liǎng nián Hànyǔ le.
我学了两年汉语了。
我学了两年汉语了
私は中国語を二年間学んでいる。
これは教科書によく出る例で、28a) の場合は、“了”が一つしかないため、学ぶことはすでに終わったということを示し、28b) の場合は、“了”が二つあるため、未だに学んでいて、学び続けるということを示すのだ。でもそれはどうしてなのか考えたことがありませんか。
説明するために、さっき挙げた例をもう一度見ましょう。
3f)
Wǒ chīle liǎng wǎn fàn.
我吃了两碗饭。
我吃了两碗饭
私はご飯を二杯食べた。
さきほど習ったように、不完全に聞こえないように、目的語の前に”两碗“という定語を入れるのです。これでこの文は完全な文になり、意味としては二杯のご飯を食べた、食べるという動作も完璧に完了したということになります。さてもし後ろに“了2”を付ければどうなるのでしょうか。
3l)
Wǒ chīle liǎng wǎn fàn le.
我吃了两碗饭了。
我吃了两碗饭了
私はご飯をもう二杯食べた。
これも基本的に同じ意味ですが、最後の“了2”の働きは何かというと、数字の変化を表しているのです。食べるという動作は進行しているという感じです。一杯目を食べて、それから今二杯目までやってきて、ストーリーがこれからもさらに展開していく可能性が高いということを示しているのです。3f) の場合、食べるという動作が完全に終わったというのに対して、3l) の場合、これからどうなるのかまだ分からないのです。もう一杯食べたいと言うのかもしれないし、これ以上はもう食べられないと言うのかもしれません。これが故に、動作がまだ進行しているというのです。
次の三つの例を比較しましょう。“了1”だけの場合:
29a)
A:
Jīntiān lǎobǎn qǐng kè, yīdìng chī de hěn bǎo ba?
今天老板请客,一定吃得很饱吧?
今天老板请客
今日は社長がご馳走したのでいっぱい食べたでしょう。
B:
Shì a, chāo hǎochī, wǒ chīle liǎng wǎn fàn.
是啊,超好吃,我吃了两碗饭。
是啊我吃了两碗饭
そうです。超美味しかったので、ご飯を二杯食べました。
“了1”も“了2”もある場合:
29b)
A:
Nǐ zhēn néng chī a!
你真能吃啊!
你真能吃啊
あなたは本当にたくさん食べられますね。
B:
Shì a, wǒ chīle liǎng wǎn fàn le, zài chī yī wǎn yīnggāi jiù bǎo le.
是啊,我吃了两碗饭了,再吃一碗应该就饱了。
是啊我吃了两碗饭了
そうですよ。ご飯をもう二杯食べましたが、あと一杯したらいっぱいになると思います。
または
29c)
A:
Jīntiān wǒ qǐng kè, nǐ zěnme chī de nàme shǎo? Zài duō chī xiē!
今天我请客,你怎么吃得那么少?再多吃些!
今天我请客
今日私がご馳走するのに、これしか食べないの?もっと食べてよ。
B:
Bù xíng a, wǒ chī le liǎng wǎn fàn le, zài chī jiù zǒubudòng le.
不行啊,我吃了两碗饭了,再吃就走不动了。
不行啊我吃了两碗饭了
もうだめです。私はご飯をもう二杯食べたので、これ以上食べると動けなくなります。
一息つきましょう。ここまで見て、矛盾しそうな特徴で頭の中がごちゃごちゃしているのでしょうか。さきほど、動作の完了を示すために“了2”を最後に付けるのだと習ったのに(3. 発生の確認を表す)、今は“了2”を後ろに付けると動作がまだ続くのだというと、矛盾がありませんか。矛盾がありません。今習った新しい特徴は、数量補語と時量補語の場合です。簡単に言えば、どれくらいなのか、どれくらいなっているのかというような数字について話す場合です。それから、何度も言っているように、過去形の認識を捨て、変化のポイントを常に念頭に置けば、かなり理解しやすくなるでしょう。
5. 催促や制止を表す
“了2”には、催促や制止を表す働きもあります。次の一言を聞いたことがありますか。
30)
Zǒu le
走了
走了
どんな意味だと思いますか。文脈がなければ判断しにくいです。
30a)
A:
Xiǎomíng ne?
小明呢?
小明呢
ミンちゃんは?
B:
Zǒu le.
走了。
是啊我吃了两碗饭
行っちゃった。
この会話のように、誰かが離れた、「離れた」という新事態ができた、という意味にもなるし、また次のように、「行け」と命令の意味にもなります。こんな場合、二三回言うのが普通です。
30b)
Zǒu le! Zǒu le!
走了!走了!
走了走了
さあ、行った、行った!
なぜ“了2”が催促する場合に使えるのでしょうか。その動作をする時(またはやめる時)になったからです。行かなくてもいい時から、行くべき時になった、という変化を示しているのです。ちなみに、日本語の場合、こういう時に過去形を使うのは、発想が似ているからなのでしょうか。
ここで、中国語では文脈が如何に重要なのか見てみましょう。この例では、“走”という動作の主語がはっきり示されていません。行く人は 30a) のように第三者かもしれませんし、30b) のように聞き手である場合もありますし、また次の 30c) のように、話し手の「私」の場合もあります。
30c)
(Wǒ) zǒu le!
(我)走了!
我走了
(私は)もう行く。
話し手の「私」がもう行く時間になったというのです。更に、“走”の主語はモノの場合もあります。例えば、バスが出発するのをずっと待っていて、やっと走り出すと、次のように言うでしょう。
30d)
Zǒu le, zǒu le!
走了,走了!
走了走了
発車した!
この“走”の例から分かるように、文脈が分からなければ、主語が分かりません。それだけではなく、“走”という動作が発生する時間も分からないのです。30a) のように、とっくに起こったかもしれませんし、30b) と 30c) のように、これから発生しようとしているのかもしれませんし、或いは、30d) のようにまさに今この瞬間起こっているのかもしれません。機械の翻訳っていったい可能なのでしょうか。
まぁ、それはそれとして、もう少し例を見ましょう。
31)
Bié kū le!
别哭了!
别哭了
もう泣かないで。
32)
Chī fàn le!
吃饭了!
吃饭了
ご飯だよ。
ちょっと待って…これはさきほど、3. 発生の確認を表すの 3j) の文に似ていませんか?
3j)
Wǒ chī fàn le.
我吃饭了。
我吃饭了
私はご飯を食べた。
“了2”はあることをする時間(またはやめる時間)になったと表すことができると今習いました。そうすれば、この 3j) の文は、もしかしてこう解釈することもできるのですか。そうです、「私はこれから食べます」という意味もあります。次の会話を見てみましょう。
33)
A:
Wǒ hái méi hǎo ne, nǐ děngdeng wǒ, wǒmen yīqǐ chī fàn.
我还没好呢,你等等我,我们一起吃饭。
我们一起吃饭
私はまだだよ。待ってて、一緒にご飯食べよう。
B:
Hǎo, wǒ děng nǐ.
好,我等你。
好我等你
分かった、待ってる。
yī xiǎoshí hòu
一小时后……
一時間後…
B:
Zài děng nǐ wǒ è sǐ le, bù děng le. Wǒ chī fàn le!
再等你我饿死了,不等了。我吃饭了!
再等你我饿死了
あなたを待ち続けると餓死するわ。これ以上待たない。もう食べる。
6. 決まった構造
“了2”が入った決まった構造もあります。決まった構造なので、比較的に簡単です。
太 tài + 形容詞 + 了 le
直訳すると「〜すぎる」という意味ですが、文脈によって「とても」、「かなり」、「大変」などにもなります。
34)
Xiànzài qù de huà tài wǎn le, wǒmen míngtiān zài qù ba.
现在去的话太晚了,我们明天再去吧。
现在去的话太晚了
今行けば遅すぎるので、明日行こう。
35)
Nǐ zuò de mántou tài hǎochī le, wǒ zhēn xiǎng tiāntiān chī.
你做的馒头太好吃了,我真想天天吃。
你做的馒头太好吃了
あなたが作る蒸しパンはめちゃくちゃ美味しいから、毎日食べたい。
動詞/形容詞 + 死 sǐ (目的語) 了 le
これは”太…… 了“に似ていますが、程度がより甚だしくて、大げさな表現です。直訳すると「死ぬほど〜」、「死にそうに〜」という意味です。ネガティブなニュアンスが多いですが、その凄さを強調するため、ポジティブな場合もあります。
36)
Zhè háizi, wǒ shuō shénme dōu dǐng zuǐ, qì sǐ (wǒ) le!
这孩子,我说什么都顶嘴,气死(我)了!
这孩子我说什么都顶嘴
この子は私が何を言っても言い返す。頭にきた!
37)
Jīntiān zhōngyú kàndào ǒuxiàng, kāixīn sǐ le!
今天终于看到偶像,开心死了!
今天终于看到偶像
今日やっとアイドルに会えて嬉しくてたまらない。
要 yào + 動詞(目的語)+ 了 le
何かがもうすぐ起こるという意味です。形容詞や名詞が入る場合もありますが、動詞が一番多いです。
38)
Yào shàngkè le, wǒmen huí jiàoshì ba.
要上课了,我们回教室吧。
要上课了我们回教室吧
授業がもうすぐ始まるから、教室に戻ろう。
39)
Tā yào kū le, nǐ bié mà tā le.
她要哭了,你别骂她了。
她要哭了你别骂她了
彼女は今にも泣きそうだから、叱るのをやめよう。
最後に、一番最初の「食べる」の例をもう一度見ましょう。
3a)
Wǒ chīle.
我吃了。
我吃了
私は食べた。
今、“了1”も“了2”も学びましたが、この基礎っぽい文を見たら、かえって混乱してしまったのでしょうか。いったいこの文の“了”は“了1”なのか、“了2”なのか。答えは、両方です。動作の完了を表す“了1”でもあるし、確認を示す“了2”でもあります。
“了”の一番重要な特徴を述べてきましたが、これだけちゃんと理解すれば、“了”をかなりうまく駆使できるのではないかと思います。時間が少しかかるかもしれませんが、コツコツとやっていって、分からなくなったときにまたこのレッスンをもう一度見てください。こちらのまとめも見てみて、そして、練習も忘れずにやってくださいね。
次回は“了”と“过” guo の違いについてで、是非お見逃ししなく!
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